2019年 第一期受講生 北野幸乃さん
ブランド名 star.101
琉球ガラスカレットを使いアクセサリーを手で作る、2児のママでもある「琉球ガラスアクセサリーデザイナー」。
廃瓶を再利用し、こだわりある作品を作られている職人さんの作業工程の中で出たガラスの廃材を、一つ一つカケラにした後、ひと粒ひと粒アクセサリーにしています。
同じ形状のカケラはなく、どれも1点もの。ガラスの形・色味それぞれの個性に合わせデザインを決めて作っており、シンプルなデザインながらもパッと目を引く仕上がりの、とても美しいアクセサリーです。
まずは作品についてお聞かせください。どのようにアイディアを膨らませて、今の作風にたどり着いたのですか?
きっかけは沖縄が好きだということと、自分好みのアクセサリーは探すより作る方が早い、と思ったからです。自分が好きなシンプルなファッションに合わせたいと考え、そこからアクセサリー作りをやりたいなと思いました。
また、沖縄に貢献をしたいという気持ちが強かったんです。そして、昔ジェルネイルに琉球ガラスカレット(編集注;カレットとは、ガラス製品をリサイクルする際に、いったん破砕した状態の「ガラス屑」のこと)を埋め込んだデザインが今も忘れられず。そうしたところが、原点ですね。
ネイルは、小さな指先に小さなカレットをカラフルに埋め込むのがとても綺麗なんです。
しかしながら、アクセサリーの場合には、少し離れた距離、鏡越しや対面した方から見た場合のことを考えました。ごろっと大きなカレットを使用した方が、印象に残るアクセサリーになるかなと。
確かに、一粒一粒が目立ってとても印象に残るデザインのものが多いですね!
はい、同じものが二つとないですから、私もその素材を生かして好きなように作っていますし、インスピレーションで好きなものを選んでくれたらうれしいなと思います。
販売スタイルなどについて、教えてください。
はい、実はまだ活動スタイルの確立はできてないのが現状です。
ガラスカレットを自分で作り、ガラス割り職人になるためには、まだまだ制作場所や時間、沖縄での活動(仕入れ)含めて時間をかけて経験することが必要だと感じています。
ただし、新型コロナウイルス影響もあり、販売方法なども時と場合に応じて臨機応変に対応できる力を持たないといけないと強く感じました。
これまでであればイベントへの出店など、直接手に取ってご覧いただき、いくつか試してから購入していただくこともありましたが、なかなかそうしたことも難しくなっています。
プレゼント探しができない方もいらっしゃいましたし、沖縄旅行ができず…、という方にも、微力ながらお力になれたらなと思います。
どのようなことにアンテナを張っていますか?また、新作などのアイディアはどのように発案していますか?
そうですね、情報収集は、あえてそこまで意識して行ってはいません。私の場合は、とにかくガラスと向き合う時間を大切にしています。
カケラの個性を活かすのには、ガラスと向き合うとかカケラの形でインスピレーションを得ていくのが一番重要かなと思います。
それから、これは職人あるあるかな?と思うのですが、モチベーションについては上がり下がりがどうしてもあります。
できるときにできることをやって、作れない!という時は無理をしないことも、良い作品を作るためには必要なことだと考えています。ですので、そういう時には下準備や片付けなど、普段後回しにしがちな作業をしています。
これはこれで、有効な時間の使い方かなと、自分を納得させたり(笑)
なるほど。無理をしないからこそ、良い作品が生まれるのですね。では、アイディアを形にするための技術はどうやって身に着けたのでしょうか。
私の作っているガラスアクセサリーは、同じ製法でやられている作家さんに出逢ったことがありません。なので、技術は誰かから学ぶということはなく、自分自身で試行錯誤して今に至ります。
ただし、レジンを使いコーティングする作業がありますので、レジンそのものの性質についてや、特徴、良し悪しなどは調べました。納得のいくものを探し出して、自分なりに「作りたいもの」のゴールを目指して作業を重ねてきました。
最後に、何か自分でもやりたいけれど、どうして良いか分からない、とお悩みの方へメッセージをお願いします。
自分にできることとできないことはなにか。
私は、得意なことだけでなく、苦手なことは「できること」になると思っています。そして、ひとつひとつ「できること」を増やしていくと、「どうしてもできないこと」が見えてきます。
そのできないことは、頼るのか、お任せするのか、教えてもらうのか。こうして順序だてて進めていけばいいのではないかと思っています。
そして、今やれることをやれたら、それが漠然とでもしばらく続けられる気がしたなら。
新しいことはじめられるのではないかなと。
私が作家になってみて感じたのは、作家さんはみんな優しい、ということです。できないことや知らないことは、質問すると教えてくださいました。そして、同じ悩みも抱えていたりもしますので、話していて「一緒に頑張っているな」と感じることもできると思います。一人で何でも抱えずにどんどんコミュニティに入って、頼ってみたら良いのではないかと思います。