「ハンドメイドはお金にならない?」—その考え、変えてみませんか?

先日、ハンドメイドビジネス学校のある生徒さんからこんなメッセージをいただきました。

「家族も来てくれたのですが、私が出店しているのを旦那が初めて見て、帰ってから絶賛してくれて嬉しかったです。今回のマルシェ、講座では本当に学びが多くて、今後に繋げて頑張ります!」

これは、生徒さんがマルシェで実際に販売した後のメッセージだったのですが、特に印象的なのは「旦那が初めて見て、帰ってから絶賛してくれた」という部分。

「ハンドメイドはお金にならない」と思っている方へ

でも実際に活動の場を見たり知ったりすると、考えが変わることが多いのです。なぜならハンドメイドはただの「モノづくり」ではなく、スキル・ブランド・マーケティングを組み合わせた立派なビジネスだということを目の当たりにするからです。

そして何より大事なのは、ハンドメイドが「お金になるかどうか」ではなく、まずモノづくりをする本人にとって価値のあることは何かを見極め、その価値を最大化する方法を模索することが、本人はもちろん、家族や社会にとっても建設的な視点と言えるのではないのでしょうか?

2024年光の祭典クリスマスマーケットの様子

自己実現は単なる自己満足ではない

仕事には、収入を得るだけでなく自分らしさを表現し、満足感を得られるという「自己実現」の側面もあります。そして、その自己実現の欲求が満たされると、その影響は周囲にも広がっていきます。私自身の経験から、ハンドメイドがもたらす変化を、順を追ってお伝えしたいと思います。

本人の幸福度が上がる

私がハンドメイドを始めたとき、最初に感じたのは 「好きなことをやる喜び」 でした。最初は自分が作ったものが売れるかどうかもわからないまま、とにかく試行錯誤。でも一つ作品が売れたときの嬉しさや、お客様からメッセージをいただいたときの感動は想像以上のものでした。

これが日々の充実感となり、エネルギーになりました。初めての子育てに悩み、孤独を感じていた日々から「自分がやりたいことを形にできる」と思えたことで、自然と前向きになりました。

パートナーシップが良くなる

そんなふうに私自身が楽しんでいたのですが、最初の頃は家族にはあまり理解されませんでした。言葉にはされていなくても「それって仕事になるの?」「お金にならなかったら意味ないんじゃない?」という雰囲気がありました。

でもマルシェの出店や販売を続け、SNSにその様子を投稿し続けました。お客様が作品を手に取ってくださったり、喜んでくださったりしている様子を見て、ある日、夫がポツリと一言。

「ちゃんとビジネスになっているんだなぁ」

この一言が、とても嬉しかったのを覚えています。そこから少しずつ夫も応援してくれるようになり、マルシェの送迎などもしてくれるようになりました。

時間はかかりますが「自分の好きなことを大事にする姿」を見せることで、パートナーにも伝わるものがあるんだと実感しました。

子どもへの良い刺激になる

私がハンドメイドを始めたころはまだ娘が赤ちゃんの頃でした。育児をしながらハンドメイドを続けるのは簡単なことではありません。実際に納品に間に合わせるために睡眠時間を削り、翌朝体力が消耗したまま子どもの遊びに付き合わなければならない、という苦しい時期もありました。でも続けてみて、好きなことで生きる姿を見せること自体が、子どもにとっての学びになるんじゃないか? と最近では思うようになりました。

私が仕事をしていると、隣で「ママのお仕事?」と覗いてきたり、一緒にお絵かきをしたりするようになりました。4年生のころには娘が「私もワークショップをやってみたい!」と言って、実際に折り紙ワークショップを開催したのですが、顔なじみのお子さんやハンドメイド作家さんが駆けつけてくださり、娘が折り紙を教える姿を見た時は、やっていてよかったと思いました。

好きなことを続けることは、ただの自己満足ではなく、子どもにとっても良い影響を及ぼすのだと改めて思いました。

周囲に良い影響を与える

娘の折り紙ワークショップ開催の時にたくさんの方が来てくださったように、気づけばハンドメイドを通して私の世界も広がっていました。お客様とのつながり、共に頑張る作家仲間との出会い、活動の場を支えてくださる地域の方や企業の方々など、多くの方々との出会いがありました。

もともとは「ただ好きなことをしたい」と思って始めたことが、結果的には社会との接点を増やし、経営という未知の世界を体験することに繋がり、新しい価値を生み出すことにつながったのです。

自己実現は単なる自己満足ではなく、周囲の環境や人間関係にも波及する重要な要素。だから、本人が本当に価値を感じることを続けることが、結果的に家族や社会にとってもプラスになるのではないでしょうか。

一歩踏み出せば、見える景色が変わる

今回嬉しいメッセージをいただいた生徒さんのように「学びを得て、次に繋げて頑張る」と思える環境があることは、とても素晴らしいことだと思っています。それだけこの10年でビジネスの活動の幅が広がってきているのだと思います。

「ハンドメイドってお金にならないでしょ?」
そんなふうに思っていても、一度でもその場の温かな雰囲気と、いきいきと活躍する方々の姿を見たら考えが変わるかもしれません。
ハンドメイド作品を販売している方にとって、それは単なる趣味ではなく自己表現であり、仕事であり、生き方の一部。やり続けることで家族との関係も、子どもへの影響も、社会とのつながりも、少しずつ変わっていきます。お金には代えられない多くのものが得られる、尊い活動だと思っています。

今月は第7期のハンドメイドビジネス学校最終講義。
マルシェの振り返りを行います。皆さんの次の活動につなげられるような時間にしていきたいと思います。